例の話題になっている『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』での宇多丸さんによる秋元康さんへのインタビューですが、Togetterで断片がまとめられていたり、2ちゃんでの反応がまとめサイトにまとめられてはいますが、あのインタビューは宇多丸さんからのコメントの引き出し方や、流れの中での反応を見ていった方がいいと思うので、記録がてら書き起こししておこうかと思います。

今回はまずは前編部分。
※あくまでポッドキャストを聴いてわかりやすく起こした文章なので、実際の会話はTBSラジオで配信されているポッドキャストを確認してください。すべてそのまま文字にしても読みにくかったり、逆に意味や空気感が通らなくなってしまうので、不必要な感嘆詞等は除いていたり、多少単語の前後の入れ替え等も行なっています。

===コーナー開始===

●対談がセッティングされた経緯とあいさつ。
秋元「全然、何聴いていただいてもかまわないので」
宇多丸「お受けいただくのがこの状態ではちょっと…っていう…。今締め切り抱えていないんですか?」
秋元「いや、抱えてますよ(笑)。抱えてるけど、前回のドキュメンタリー映画の時に、宇多丸さんたちが(ラジオで)いろいろ話してくれて、『うーん、そうだよなあ』とか、いろいろ考えるところがあって。スタッフ全員に『これ聴け』って言って」
宇多丸「その噂は本当だったんですね」
秋元「本当ですよ。だから、ぜひ一度ちゃんとお話ししたかったのでもあって(お受けしました)」
宇多丸「ありがとうございます」

(略・宇多丸さんによるオープニング。対談自体は「今週の火曜日に収録した」…ということなので2013年2月19日ですかね。2008年のAKBが本格ブレイクする前夜の秋元さんのラジオ番組での対談以来で、何をぶつけるかという話。今回のインタビューは秋元康事務所での収録で、『お互いなめられちゃいけない合戦』があったとか、周りのスタッフがやきもきするほど時間をオーバーして話してくれたとか)

●さっそく、峯岸みなみ謝罪動画のことについて。
宇多丸「僕らがずっと話し合ってることって、大きく分けて2つだと思うんです。アイドルという文化というかジャンルの、本当の面白さを引き出すにはどういうやり方があるか。もう1つは完全に表裏一体ですけど、アイドルというものが持つ、というか帯びてしまう一種の不幸さみたいなものを解消とは言わないまでも、軽減できないものか。っていうのがずっとあるんです。それに関してこのタイミングではどうしてもお話しいただかないことにはということでお伺いしたいと思うんですが、峯岸みなみさんの丸刈り動画事件がありましたよね。まずその件について秋元さんはどうお考えなのか率直に伺いたいです」
(終始秋元さんは『うん、うん』とうなずきながら聴いています)
秋元「うーん…やっぱりその…メンバーの意思を尊重するっていうことと、世間での見え方はやっぱり誤差を生むな、と。つまり、いくらメンバーのことを思い、それをストレートにそのまま出してあげようと思っても、それが昔の小さい頃のAKBだったら、そこでリアルさとか『そういう風に思ってるんだ』ってのが直に見えてよかったんだけど、あそこまで大きなニュースになっちゃうと、本人も自分が言ったこと・したことがすごく大事(おおごと)になって、余計な負荷をかけてしまうのかな、と。それはどういうことかって言うと、もともとはそういう話があった時に、峯岸の方から『自分でファンのみなさんに伝えたい』と。で、その方法がYouTubeってのが前田敦子が選挙を辞退するときの方法が一番いいんじゃないか、っていう話になり、スタートしてたんですね。ところが、本人がもっと…何だろうな、自分が反省しているということを、表したくて、そういう行動を取ったと。それがたぶん…何だろうな…たぶん本人的にはある種の気合いだったと思うんですよね。ただそれが、気合いとか以前に、その場にいたヘアメイクとか、わからないですけど…うーん…管理責任も問われるだろうし、大人としても周りの反応をどう取られるようになったってことを、本人は…逆に、」
宇多丸「気に病んでる…」
秋元「そう、心配しちゃってるんです。AKBが抱えている問題がそこだと思うんですよね。昔のように『リアルだからいい』、あるいは…、」
宇多丸「『本人の気合いが入っているからいい』」
秋元「そう。 そういうことではなく、それが、つまりAKBを知らない人、AKBという活動を知らない人にとっては、ある日奇異な姿が(現れる)。僕もYouTubeを見て…チェックする間もなく出てしまったので、」
宇多丸「そうだったんですか、その辺も追っかけたかったんですよね」
秋元「だから、 それは…ずっと当然…、全員のことを見ているわけではないので、」
宇多丸「どの段階でお知りになったんですか?」
秋元「YouTubeです」
宇多丸「マジすか!」
秋元「もちろん『謝罪コメントをしたい』っていうのも知ってましたし、コメントを何かのときに撮ります、っていうのも聞いていましたけど…、」
宇多丸「丸刈りになってるっていうのは…、」
秋元「それはもう、 途中で連絡は入りましたよ。でも、想像では『まあ、ちょっと短くしたんだろうな』程度に思ってですね、」
宇多丸「あそこまでとは思わなかったですか」
秋元「思わなかったですね」
宇多丸「その後、峯岸さん本人とはお話ししたことって?」
秋元「メールのやり取り…あと電話でも話しましたかね。でも、本人はやっぱり、事の大きさ、事が大きくなっていくことに対しての不安ですよね。つまり、そのこと(動画で謝罪したこと)がAKBに迷惑をかけていたんじゃないかな、逆にね、じゃないかっていう」

●外から見る宇多丸さんは「世間と距離がある」と言うが、秋元さんの中では「距離を近くしたい」。
宇多丸「これは秋元さんもそう思われているのかもしれないですけど、周りの大人も『これがありだと思ったのか』っていうのが僕ら的には信じがたいっていうか、あまりにも世間一般の常識と乖離しすぎているというか。たとえば世の中の人はそれこそ『秋元さんが指示した』と思って公開している人だっているだろうし、」
秋元「もちろん、当たり前だけれども、僕がその場にいたら止めたでしょうね。 ただ問題は、そこに僕がいて止めたか止めないかっていうことよりも、『そうまでして反省の意を見せたかった』ってことにもしかしたら今までのスキャンダルと対峙することへの難しさっていうのがあるのかな、と思いましたね」
宇多丸「例えば僕がAKBのもっとディープな一筋なファンで、峯岸さんのファンだったら『その気合いや、よし』みたいな受け方をすることもありえない話ではないですけど、やっぱりこういうことが起きるたびに、別に丸刈りじゃなくても、アイドルという文化と世間との距離感が浮き彫りになっちゃうと思うんですよ。『恋愛禁止』っていうのに、『まあ、そうなんだろうな(必要なんだろうな)と思いながらも何の妥当性があるのか、どうなんでしょうね』と思いながら、そんなに罰されるようなことなのっていう、」
秋元「ちょっと違うかな…、 1つは、たぶんそこがAKBの中で難しいところなのは、できるだけファンのみなさんとメンバーの距離感を近くしたい…例えば1つの判断はSNSのような、つまりGoogle+のような、あるいはTwitterみたいなことを許可してる時点で、もう情報はダダ漏れ。ただそれも含めてAKBだなっていうのがあって。本来ならば『あれもダメこれもダメ』あるいは『世間に対してこういうことしちゃダメ』あるいは『謝罪のコメントなんかなし』っていうのも、できなくはないんと思うんですよね」
宇多丸「もっと完全管理という状態は可能だと」
秋元「そうそうそう。だけど、果たしてそれがいいのかなぁというがあって、どうなのかなあ、まだ結論は出ないんですけどね。ただ、決して『大人たちがけしかけた』とか、あるいは『大人たちが黙認した』とかではなく、本人の思いっていうものが…どこまで…伝えていいものなのか、っていうことですよね」
宇多丸「尊重した結果、っていうね…」
秋元「うーん…」

●「何をやっても炎上しちゃう」と諦めつつある秋元さん。
宇多丸「本筋とはズレますけど、心配なのは峯岸さん、今大丈夫かなって。今の状態がむしろ心配というか」
秋元「いや、もちろん元気ですよ、全然。だけど何をやっても…本来はここで僕がコメントをすることで炎上するし、」
宇多丸「話題に出せば出すほどね」
秋元「だから本当はそういうことはコメントしないほうがいいなと思うんだけども、今日はせっかく宇多丸さんが、先週の(ラジオ)も聴かせていただいたし、ちゃんと話すべきだなって思ってここで話すんですけど、例えばそういうことが一大事になったと、峯岸が。本人も慌てて、もちろん周りも『どうした、どうした。なんだこれは』ってことになるじゃないですか。そうなりました、そしたら今度は、周りのメンバーが、初期メンバーが『大変だ』っていうんで集まった。それは僕らも知らないところでですよ。彼女たちは『みぃちゃんが、そんなに深刻で大変なんじゃないんです。気合いなんですよ』っていうようなことをやろうと思って、たぶん、わからないけど、写真を撮ったんでしょう。ピースしてね。ピースしたら今度は『お前、反省してないのか』ってなる」
宇多丸「やればやるほどね」
秋元「そう。メンバーもすごくかわいそうだな…と思うのが、」
宇多丸「そうですよ。でも、あの絵面がはっきりネガティブなものである以上は、何かやっても、AKBは炎上する。(実際は秋元さんが)やらなくても、言わなくても、『秋元さんの指示なのか。指示なんでしょう、どうせ』って思ってる人だっているだろうし、『自分でやったんじゃなくてやらされたんだ』って誤解してる人もいるだろうし。ただ彼女が『そこまで思い詰めるようなことなのか』っていうが世間から見ると、異様なことに見えちゃうと」

●改めて、決意の「恋愛禁止条例は存在しない」宣言。
秋元「それはわからないよね。わからないっていうのは、本人がどこまでそれを問題視するか。これは誤解を生むから言いたくもないし、言わないんだけども、僕は恋愛禁止条例っていうのは1つのネタとしては歌にしたり、あるいはネタとしては『ウチは恋愛禁止条例だからな』って言ってるけども、例えばテレビのコメントでも、EXILEの番組出た時かな、『ウチは緩いからね』ってとかっていうのを言ってるように、決して恋愛が禁止なのではなくて。それはメンバーにも言ってあるんだけども、『高校野球で目指している人は、たぶん恋愛してる時間はないんじゃないか』と。わかんないですよ、それは、イメージで言うと。(誰か他の人が)ガールフレンドと会ってる間、素振りをしているかもしれないし、あるいは朝から晩まで走ってるのかもしれないし。っていうようなことで、それ(恋愛)はなかなか難しいかもしれないなってね。でも本当に好きな人ができたらそれはしょうがないんじゃないか、っていう話はしてましたよね」
宇多丸「ただ、ペナルティみたいなのもあるわけじゃないですか。それもネタなんですか?」
秋元「ペナルティはネタっていうか(ネタって言うと)面白がってるみたいだから(言い換えると)、そうじゃなくてメンバーは『どうしたら、今まで応援してくださったファンが許してくれるだろうか』ということを考えると思うんですよ」
宇多丸「要はユーザーがそれを望んでいないっていう以上はっていうことですか」
秋元「そうでしょうね。それははっきりしてますよね。スキャンダルが出て離れちゃう人と、その…うーん…何かすることによって、イメージで言えば社会奉仕みたいな。お掃除10時間とか。昔よく言ってたのはトイレ掃除とかそういうのもありじゃないのってのはありましたよね」

●コンバットRECさん提案の「恋愛解禁総選挙」はありなのか。
宇多丸「ウチのラジオのコンバットREC(Twitter)っていう男が提案したのが『せっかく総選挙というシステムがあるんだから、そういうのを自己責任というか、恋愛ありというか、自己責任で引き受けた上で順位をつければいいじゃないの』っていうのを言ってましたけど。それはアイディアとしてどうですか? それは秋元さんとしてもそうですよね。『恋愛するな』とは言ってない。ただそれでファンの人たちがそれで納得するかどうかは別問題」
秋元「今年どうなるかわかりませんけれども、やるとしたらそうなるでしょうね、きっと。みんな『これは厳しく禁止令で、こういうペナルティがあります』って言うんです。例えば一番ファンのみなさんがおっしゃるのは、『なんでペナルティが違うんだ』と」
宇多丸「『ルールが違うじゃないか』と」
秋元「『一貫してないじゃないか』と」
宇多丸「聞きますね」
秋元「それは、『ルールがないから』なんだよね」
宇多丸「そんなものは本当はないからだと」

●スキャンダルに対して「万策尽き果てた」とお手上げ状態で昔を懐かしみ始める秋元さん。
秋元「そんなものはないし、ペナルティなんていう規則もないから、例えば『そういうの(スキャンダル)が噂であるけど気をつけなさい』ってマネージャーが指導したり。あるいは『遅刻してくるんで、それはダメだよ』ということがあった上での何かと、あるいは何にもなくて過去のことだったりとか、あるいはそのキャラクターとか、そういうことで何か考えることはありますけどね。ただもう、万策尽き果てたから(苦笑)。つまり、メンバーに任せると、自分の中のアピールも出てきちゃうし。何やっても狙ってるように思われちゃう。だから、コンバットRECさんがおっしゃるように、もしかしたらもっと自己責任で好きなようにして、ファンのみなさんが『あいつは彼氏いるらしいけど、悔しい!』って思いながら『でも応援しよう』って、」
宇多丸「カッコいいって思う、」
秋元「かもしれないし」
宇多丸「要は恋愛禁止とか、そのアイドルのあり方っていうのは僕は80年代半ばからのレギュレーションが、2013年に残っちゃってるのが不自然だなって」
秋元「たぶんね、一番の問題はどこにあるのかっていうと、僕も先週の宇多丸さんの放送を聴いて、考えたんですよ。『何なんだろうな?』と。そうすると一番は、AKBが一応見えるからなんですよ。ガラス張りで、中が、」
宇多丸「オープンにしてるから」
秋元「はい。つまりこれは、80年代から、先人たちはね、正しかったなと思うんですよ(苦笑)」
宇多丸「(笑)。もっと不可視してたと」
秋元「そうそうそう。つまりそこでいろんなごちょごちょしたものを、あるいはスキャンダラスなことも全部、見せないで、それこそ何かあってもこれを隠すようなことをしていかなきゃいけなかったのかなとも思う」
宇多丸「今は仮に隠すと言っても、昔と違ってベールが(剥がれやすい)。ネットもありますし、社会の目も、というかね、あるから、」
秋元「もちろんそうなんだけども、時代とともに、アイドルという名の、ミステリアスな部分…? つまり『アイドルっていうのはトイレにも行かないんだ』っていう80年代神話が、っていうのがあるわけじゃないですか」
宇多丸「っていうか、秋元さん自身がそれを80年代半ばに壊した張本人なわけじゃないですか」
秋元「まあ、そうなのかな…?」
宇多丸「要は可視化・リアル化方向っていう先駆者であり、今だにその最前線といいますか、AKBは」
秋元「そこはね、僕の中でも結論出てないのが、例えば横山(由依)がぐぐたす(Google+)の中で、『トイレの紙がなくなった』とかって言うの。そんなアイドルいなかったよね」
宇多丸「そうですよね。そういう意味では今はいいことだと思うんです、とても」
秋元「でもそれがいいことだから、そのいいことで、Google+で迫られたんですよね。つまり、全部ブログはマネージャーに送って、マネージャーがチェックして、上げてた。でも、Google+に関してはもう間に合わない。だから、見せたい部分と『それはいいですよね、ありですよね』っていうのと同じくらい『それはまずいんじゃないの?』っていうの出てくるわけだよ」
宇多丸「現にその丸坊主とか、社会常識に反して、大人の意見も入る間もなく、(表に)出たりすることがありますと」
秋元「いや、ありますよね。だって、例えば、炎上することがいっぱいあると。でも『炎上するかもしれません』ということを言われた時に、『でもそれは何が社会のルールでいけなくて、何が誤解を招いてってことは自分で学ばないとわかんないから、それはもう僕らが腹をくくるしかないよね』っていうのがその時の僕のコメントだったんですよ。でも、それもある程度の指導した上でじゃないと、ちょっと大変だなっていうのはありますよね」

●「残酷ショー」を見せるAKBのメンタルケアはどれだけ徹底されているのか?
宇多丸「僕が思うのは、指導とか、ケアというか、そこの問題な気がするんですよ。例えば、総選挙というイベント。あれは要は僕らが露悪的な言葉を使って言うならば『残酷ショー』じゃないかと。たとえ芸能界が熾烈な競争の世界だとは言え、目の前で順位つけられて、その様が残念ながら大変面白いのも事実だけども、残酷でもあると。僕が思うのは、あれをやるならば、終わった翌日から、数日かけてでもいいから、秋元さんが、全員と面談して、順位の分析と、アドバイスみたいなこと、それこそが最高のカウンセリングだと思うんですよね。とか、あるいは日頃のケア。去年の、ある時期までの前田敦子さんとかが、わかりませんけど、大変追い詰められているように見える。前田さんに限らずここまで事故というか、何かそういう彼女たちが思い詰めちゃってっていうことが起きてないのは、ぶっちゃけ、運がいいだけじゃないのかっていう(苦笑)。そういうメンタルケアみたいなことをされるっていう動きみたいなのはないんですか?」
秋元「いや、もちろんしてますよ。相当メンタルケアしてますよ」
宇多丸「それはどうやってやってるんですか?」
秋元「それは各マネージャーから。もちろん僕が直接気づいたことであれば、どんな下位メンバーであれ、例えば研究生で僕も名前がよくわからない子でも、僕がその子のメールアドレスを聞いたり、あるいはマネージャー経由で指示する場合もありますし。それはもちろん、やっぱり、何だろうな…AKBっていうのは、そんなに世間が思うほど…なんだろう、うーん…ビジネスビジネスでもないし、もっと学校に近い感じだとか、」
宇多丸「そこは学校ですよね。あの人数は」

●お金になるということよりも、あくまで「会いにいける」というコンセプトだけど、それが正解なのかわからない。
秋元「だからやっぱりね、よくAKBが『AKB商法』って言われるけれども、でも『商法』だとしたら、きっともっと楽な方法があると思うんですよね」
宇多丸「例えば完全管理の方向とか…?」
秋元「とか、あるいは、握手会にしてもね、握手会ってすごいお金がかかっていて。お金だけじゃなくて手間がかかって。(そこまで)すごい大変なことをしてるのは、やっぱりAKBのもともとの『会いに行ける』っていう、つまり、昔はね、本当にそこ(劇場)で、『麻里子、明日頑張れよ』とか、『あっちゃん、もうちょっと元気が出ないと、省エネダンスみたいに見えるよ』とか、『手の伸ばし方が悪いんだよ』っていうことを(ファンが直接)言えたんですよ。昔はね。それがどんどん劇場が満員になって入れなくなって、そうなるとそういうチャンス、自分がアドバイスして、確かに昔はそのアドバイスによって手を伸ばしてダンスがきれいになったりした子もいたんですよね。あるいは、僕も劇場のロビーに来てみんなの話を聞きながら、『なるほどな』と思うこともいっぱいあったし。だから割と僕は、宇多丸さんのラジオもそうだけれども、みんなの話を聴いて『なるほどな』と思うことはどんどん取り入れていくし、そういうものがどんどん場がなくなってくると、やっぱりその『握手会』ということの近さがね、よかったりするのかなあと思うしね。ただ、それが正解なのかもわからないわけ」
宇多丸「おお、そうですか。秋元さん自身も?」

(後略、前半部分終了し、宇多丸さんの解説)

===コーナー中断===

●簡単な所感。
まず、すごく2人がお互いの話に耳を傾けて集中しているのに加えてリスペクトがあるのが感じられる、素晴らしい対談だったと思います。

中身としては、一部の評論家が「秋元康は戦略的にソーシャルメディアをうまく使って儲ける仕組みを作った」と批評(という名の礼賛)をする一方で、本人は現代という時代、そしてオープンにするAKBの置かれた「バッシングが起きやすい」という状況に戸惑っていることがわかって、そのことに衝撃を受けました。一言で言うと、「秋元康も人間なんだな」と。これでも結構省略してるんですが、「えーっと…」とか「うーん…」とか「なんというか…」と考えながら、悩みながらしゃべっているのが伝わってきました。一種AKBのドキュメンタリー映像を観たり、ガチなインタビューを読み聞きしている時に似た感覚を覚えました。

今回はとりあえずここまで。

ああ、久しぶりに文字起こしをしたけれど、かなり時間がかかったなぁ…後編はこの倍あるからどうしようか…3つに分けて書き起こした後に僕の意見を書く、という感じになるかもしれません。


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では、また次回。

AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集)AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集)
著者:秋元康
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